器屋さんなのに大将季(デコポン)売ってるんですか?

2021年02月14日

つい先日、営業に来た配送業者さんと玄関の前で立ち話していると『イロドリさんって商品は作家ものの器ですよね?』って話になりまして、『いえいえ、大将季(デコポン)も販売しているんですよ!』って。『器とミカンの関連性って…』ということで、ここいらでなぜ山奥でオンラインショップをしているイロドリが大将季を販売しているのかまとめてみようかと思います。

約40年間ミカン農家の息子をしています

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鹿児島県阿久根市脇本のここいらのミカンは紅甘夏が中心に育てられています。紅甘夏は大きくて、爽やかな果汁で、そのまま食べても果汁を絞ってデザートにしても美味しい。最近では缶詰になったりアルコールのサワーになったりもしていますよね。そして紅甘夏の次に多く育てられているのが『大将季(農協さんではデコポン)』なのです。

時は私が10才の頃、紅甘夏があまり売れなくなり、それに代わる作物はないかと『キュウイフルーツ』や『幸水や豊水などの梨』を育て始めました。ちょうどその頃、彗星のように現れたのがデコポンだったのです。季節がくるとこれまでのどのミカンにも負けない風味と甘さと、むきやすくて中のフサも口当たりがいいなどとても魅力的な新品種のミカンだってのです。そして何より市場価格がバケモノみたいに高かったのです。そうしてデコポンはみかん農家の希望の星になったのです。

初期は、デコポンの苗なんてものはなく、デコポンの枝を譲ってもらい甘夏の木に継いでデコポンを生産しました。でも甘夏の木の持っている酸味が邪魔をしてデコポン本来の味にならなかったのです。

そうこうしてようやくデコポンの苗が販売されるようになり、苗から育てたデコポンが中心となっていきました。

デコポンは皮が弱い

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デコポンは皮がデリケートなのです。ちょっとした傷でいたんじゃって売り物にならなくなります。それなのにデコポンにはすんごく長くて強いトゲがあります。風に吹かれるとデコポンが揺れてトゲにグサリってことがよくあるんです。さらに天気な日が続いた後に雨が降ると水を吸いすぎてパッカーンって実が割れてしまうんです。そこで風と水と温度の管理のしやすいハウスでの栽培が主流になっていきました。ハウスで栽培されたデコポンは早い時期に酸が抜けるのでこれまでよりも早い時期に食べごろを迎えるようになりました。

大将季の誕生

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私がちょうど20代半ばのころに、これまでのデコポンより皮と果実の赤みが強く味も濃い『大将季』という品種が生まれました。

そして私が現在40才に至るという物語なのです。(なんの話か!)

なぜ器屋が大将季(デコポン)を販売するのか?

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大将季はここ最近近くのスーパーでも見かけるようになってきました。やはり他のみかんと比べても少し高い。見かけはどれも一緒で買って食べてみないと味はわからない。そしてロシアンルーレットばりに酸味の強いミカンが混入されていて当たり外れがあるのが大将季の印象です。

でも、実家の親が『食べないね』って言ってくれる大将季はどれもハズレがなくケタ違いに美味しい。

理由は簡単。毎年毎年同じ畑で大将季を育て続けているので、あそこの畑のあそこの木の大将季は酸が早くなくなり甘みが強いって知っているからなのです。そして、そもそも美味しい木から採れた大将季を最適な保存方法で最適な追熟をさせて食べさせるからハズレのないアタリばかりの大将季なのです。

それなら、イロドリがそのハズレのない大将季を全国のミカンに目がないミカンマニアにお届けしたい!そして過去の経験からミカンってこんなもんでしょって思っている本当に美味しいミカンを知らない方にお届けしたい!って思うようになったのです。

うちの両親ももうすぐ70才。あと何年大将季を作れるだろうかというのか目下の不安なのです。この美味しい大将季を1人でも多くの人に届けたいと思ってます。

2021年の大将季も販売が無事終了しました。たくさんの方々からインスタへのコメント、タグ付け、メールへの感想メッセージ、備考欄への感想などいただきました。雪が積もって寒い倉庫の中で妻と子供たちと頑張って梱包してよかったと思いました。

そして何より両親の頑張りに感謝です。春先の枝の剪定、春の花の消毒、夏の水かけ、良いミカンを選んで残す摘果作業、草はらい、秋の稲ワラ敷き、そして冬の収穫。一年間雨の日も風の日も毎日欠かすことなくハウスの中の大将季を観察しに通い詰めて愛情をこめて大将季を育ててくれて本当に感謝です。

2022年の大将季出荷に向けて今年も剪定作業が始まります。また来年楽しみにお持ちくださいね!

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